2013年3月31日日曜日

Lepai LP-2020A+ その7 出力オフセット調整の実験

 Lepai LP-2020A+の改造引き続きです。今回はスピーカ出力のDCオフセットの調整回路です。最初に書いておきますが、今回は調整の実験だけです。
 私の購入したLP-2020A+は、スピーカ出力端子にそれなりのDCオフセット電圧が出ています。無音時でスピーカ出力端子を実際に測定してみると、
  Rch:無負荷時 71.3mV 
  Lch:無負荷時 -88.5mV 
となっていました。スピーカ接続時でもこの値とは数mV程度の差しかありませんでした。
 TA2020-20のデータシートのスペックには
  VOFFSET:50mVtyp、150mVmax
とありますので、TA2020-020のデータシートの測定条件と同じではないですが、規格内ではあります。それでも、私のスピーカはRe=5.0Ωなので、70mVあると14mAのDC電流が平均的に流れることになるので、出来れば小さくしたいところです。

 そこで、どうするか考えてました。
 TA2020-020のデータシートのAPPLICATION / TEST CIRCUITの回路を見てみると、TA2020は反転入力アンプの端子が10ピン、出力が9ピンとなっていてます。
TA2020-20データシート抜粋
CI含めてRI、RFと内蔵アンプで構成される反転増幅回路によって、基準の14ピンとの差電圧が9ピンに発生し、それに比例した出力電圧がスピーカ出力(ローパスフィルター後)に出てきている構成のようです。入力が反転アンプなので、利得(gain)の式にマイナスの符号がついています。これを見ると、TA2020自体には出力オフセットを調整できるような機能は含まれていないようです。

 DCオフセット電圧とは、回路内の何らかの誤差等が出力にDCとして出ていることなので、入力側でそれを打ち消す信号を入れれば出力のDCオフセット電圧を打ち消すことが出来ます。
出力のローパスフィルター後のスピーカ端子間の電圧から、オペアンプ等を使って回路を組めば自動で調整することも出来なくはないと思われますが、音の信号の経路に余計な回路をぶら下げるのはいろんな影響が出ることもあり好きでもないし、なんといっても面倒です。なんとか、簡単に考えてみます。

 先ほどのAPPLICATION / TEST CIRCUITを見て考えると、結局のところ、左右それぞれの信号入力部の10ピン、および、13ピンのDC電圧を14ピンの電圧に対してわずかに差電圧発生させてオフセット電圧を減らすしかないだろうと考えました。この電圧を微調整する方法として簡単なのは、外部抵抗RIのどちらかの端子へ電流の抜き差しをする方法です。10ピン側の場合、10ピンから電流を引き出すと、内部のアンプによる10ピンと14ピンが同じ電圧になろうとする作用により、抵抗RFにその電流を補うよう9ピンの端子電圧が上がります。この動きを使って、微調整してオフセット電圧をキャンセルしてみます。


 2ピンの5V電源から可変抵抗で分圧し、その電圧によって10ピンおよび13ピンから高抵抗で電流を抜き差しして、DCオフセットを調整してみました。具体的には次のような回路を接続し、半固定抵抗を調整します。
オフセット電圧調整回路(実験)
オフセット調整実験回路
実験の結果、

  Rch:無負荷時  71.3mV → 0.4mV (参考:10ピン端子電圧2.514V)
  Lch:無負荷時 -88.5mV → 0.2mV (参考:13ピン端子電圧2.516V)

に低減できました。
 
 実験でオフセット電圧が低減できるのは確認できましたが、課題問題点が2つあります。

1.信号線へノイズが乗る可能性。
 実験の状態で10ピンに接続して電流を引くとハム音がスピーカから聞こえてしまいます。RIとCIの接続点からであればハム音は聞こえません。実験は配線の引き回しが長いこともある影響も大きいようです。

2.物理的に入れるいい場所がない。
 基板の裏面に入れようかとしましたが、半固定抵抗の厚みがケースに当たって入りません。部品面に持って来ると配線が長くなりそうです。

 ハム音を含めたノイズのこともあるので、もう少し考えてみて、詰め込むかどうするか決めたいと思います。

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